結晶系のちがい

LIBRARY 02 — CRYSTAL SYSTEMS

結晶系のちがい

鉱物の形には、設計図があります。
原子の並び方の「くり返しの単位」で分けた、7つのグループです。

HOW TO READ

3本の軸と、3つの角度

結晶の中では、原子が同じパターンで規則正しく並んでいます。そのくり返しのいちばん小さな単位(単位格子)を、3本の軸 a・b・c の「長さ」と、軸どうしが交わる「角度」で表し、その組み合わせで7つの結晶系に分けます。

α(アルファ)
b と c の間の角度
β(ベータ)
a と c の間の角度
γ(ガンマ)
a と b の間の角度
αβγabc

矢印の付いた太い線が、3本の軸(a・b・c)です。点線は奥に隠れている辺です。結晶の見た目の形は、育った環境でも変わりますが、同じ結晶系の鉱物は似た形になりやすい傾向があります。

SEVEN SYSTEMS

7つの結晶系

abc

01Cubic

立方晶系

a = b = cα = β = γ = 90°

3本の軸が同じ長さで、すべて直角に交わります。いちばん対称性が高く、どの方向から見ても似た形になりやすいグループです。

なりやすい形サイコロのような立方体、ピラミッドを2つ合わせた正八面体、十二面体

abc

02Tetragonal

正方晶系

a = b ≠ cα = β = γ = 90°

立方晶系の軸のうち、1本だけが長く(または短く)なった形。上から見ると正方形で、横から見ると長方形です。

なりやすい形断面が正方形の柱、両端がとがった四角錐を2つ合わせた形

120°abc

03Hexagonal

六方晶系

a = b ≠ cα = β = 90°, γ = 120°

同じ長さの2本の軸が120°で交わり、それに直角な軸が1本。図の濃いひし形が単位格子の上の面で、これを3つ並べると六角形になります。573℃より高い温度で安定な「高温型石英」も、この仲間です。

なりやすい形断面が六角形の柱、六角形の板

abc

04Trigonal

三方晶系

a = b = cα = β = γ ≠ 90°

六方晶系とよく似た「六角形の雰囲気」をもちながら、対称性は少し低いグループ。水晶の六角柱も、じつはここに入ります。菱形の面でできた「菱面体」が基本の形です。なお、三方晶系を六方晶系にふくめて結晶系を6つに分ける本では、水晶は「六方晶系」と書かれています。

なりやすい形菱面体、六角柱(水晶)、三角形の断面の柱(トルマリン)

abc

05Orthorhombic

直方晶系(斜方晶系)

a ≠ b ≠ cα = β = γ = 90°

3本の軸はすべて直角に交わるけれど、長さはバラバラ。マッチ箱のような形です。以前は「斜方晶系」と呼ばれていました。

なりやすい形直方体、断面がひし形の柱、短冊のような板

abc

06Monoclinic

単斜晶系

a ≠ b ≠ cα = γ = 90°, β ≠ 90°

3本の軸の長さがすべてちがい、そのうち1本だけが斜めに傾いています。マッチ箱を横から押してずらしたような形。じつは鉱物でいちばん多いグループです。

なりやすい形斜めにかたむいた柱や板

—Amorphous

非晶質(結晶系なし)

オパールや黒曜石のように、原子の並びに規則的なくり返しがないもの。決まった単位格子をもたないので、7つの結晶系のどれにも入りません。厳密には鉱物とは区別され、「準鉱物(ミネラロイド)」とも呼ばれます。

なりやすい形決まった形はなく、丸みを帯びた塊や、ガラスのような割れ口

AT A GLANCE

ひと目でくらべる

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結晶系軸の長さ軸の角度なりやすい形
立方晶系a = b = cα = β = γ = 90°サイコロのような立方体、ピラミッドを2つ合わせた正八面体、十二面体
正方晶系a = b ≠ cα = β = γ = 90°断面が正方形の柱、両端がとがった四角錐を2つ合わせた形
六方晶系a = b ≠ cα = β = 90°, γ = 120°断面が六角形の柱、六角形の板
三方晶系a = b = cα = β = γ ≠ 90°菱面体、六角柱(水晶)、三角形の断面の柱(トルマリン)
直方晶系a ≠ b ≠ cα = β = γ = 90°直方体、断面がひし形の柱、短冊のような板
単斜晶系a ≠ b ≠ cα = γ = 90°, β ≠ 90°斜めにかたむいた柱や板
三斜晶系a ≠ b ≠ cα ≠ β ≠ γ ≠ 90°どこにも直角のない、ゆがんだ板や柱

CRYSTAL HABITS

同じ結晶系でも、形はいろいろ

同じ鉱物で、結晶系も同じなのに、まったくちがう形の結晶になることがあります。育つときの温度やまわりの成分、育つ速さなどによって、どの面が大きく育つかが変わるからです。この「なりやすい形のくせ」を晶癖(しょうへき)といいます。

蛍石立方晶系

立方体サイコロのような形。よく見られる形です
八面体ピラミッドを2つ、底どうしで合わせた形

黄鉄鉱立方晶系

立方体面に細い筋(条線)が入ることが多い
五角十二面体五角形の面が12枚。黄鉄鉱らしい形のひとつです

方解石三方晶系

菱面体ひし形の面が6枚。割れたときにもこの形になります
犬牙状犬の牙のように、上下にとがった形(偏三角面体)

※ 形のちがいは、面の育ち方のちがいです。原子の並び方(結晶系)は同じなので、どの形も、その結晶系の対称性をもっています。

IN THIS ZUKAN

図鑑の鉱物で数えてみると

この図鑑に載っている鉱物を結晶系で分けてみました。いちばん多いのは単斜晶系。対称性の高い立方晶系は、意外と少数派です。

  1. 立方晶系41種
  2. 正方晶系21種
  3. 六方晶系22種
  4. 三方晶系34種
  5. 直方晶系65種
  6. 単斜晶系92種
  7. 三斜晶系18種

MINERAL QUIZ

割ると、ひし形の面でできた「菱面体」になる方解石。何晶系の仲間?